遠距離介護は何から始める?|離れて暮らす親のために今できる準備と、仕事との両立

この記事の結論

  • 遠距離介護は「介護が始まってから」ではなく、親が元気なうちの準備で負担が大きく変わります。最初の一歩は、親の情報の整理と、親の住む地域の地域包括支援センターを知っておくことです
  • 介護が必要になったら、要介護認定の申請からスタートします。申請は家族でもでき、地域包括支援センターに代わりに手続きしてもらうこともできます
  • 仕事を辞めずに続けるための制度があります。介護休業は対象家族1人につき通算93日・3回まで、介護休暇は年5日(2人以上なら10日)で時間単位でも取れます。2025年4月からは、会社による制度の個別周知も義務になりました
この記事の内容(10項目)
  1. 遠距離介護とは、何が難しいのか
  2. まず何から始める?元気なうちにやっておく5つの準備
  3. 介護が必要になったら:要介護認定からケアマネジャーまでの流れ
  4. 仕事と両立するための制度:介護休業と介護休暇
  5. 帰省の負担を減らす工夫
  6. 毎日の見守りは「仕組み」にする
  7. 兄弟姉妹で分担する
  8. よくある質問
  9. まとめ
  10. 出典

遠距離介護は何から始める?|離れて暮らす親のために今できる準備と、仕事との両立|LINE見守りサービス「ここわタッチ」

「実家は新幹線で3時間。親はまだ元気だけれど、もし介護が必要になったらどうしよう」。離れて暮らす親を持つ人の多くが、一度はこんな不安を感じます。仕事も家庭もあるなかで、すぐに実家へ通えるわけではありません。

遠距離介護は、介護が始まってから慌てて動くよりも、親が元気なうちに少しずつ準備しておくほうが、ずっと負担が軽くなります。この記事では、遠距離介護を「何から始めればいいか」を整理します。元気なうちにやっておくこと、介護が必要になったときの手続きの流れ、仕事と両立するための制度、毎日の見守り、兄弟姉妹の分担まで、順番に見ていきましょう。

この記事で紹介する介護保険や休業制度の内容は、2026年10月時点の厚生労働省の資料をもとにしています。手続きの細かな条件は、親が住む市区町村や勤務先の就業規則によって異なる場合があります。

遠距離介護とは、何が難しいのか

遠距離介護とは、離れた場所に住む親を、通いながら、または遠くから支える介護のかたちです。同居や近居の介護とくらべて、主に次の3つが難しくなります。

  • 異変に気づくのが遅れる:毎日顔を合わせないため、体調の変化や生活の乱れに気づきにくい
  • 駆けつけられない:急に具合が悪くなっても、その日のうちに行けないことが多い
  • 移動の負担が大きい:帰省のたびに時間と交通費がかかり、仕事の休みも必要になる

逆に言えば、この3つに前もって手を打っておけば、遠距離でも介護は続けられます。「気づく仕組み」「近くで動いてくれる人」「仕事を続けながら通える制度」の3つを、順番にそろえていくイメージです。

まず何から始める?元気なうちにやっておく5つの準備

遠距離介護の準備で最初にやるべきことは、実はとても地味です。親が元気なうちに、次の5つを少しずつ進めておきましょう。

準備すること具体的な内容いつやるか
1. 親の情報を整理するかかりつけ医・持病・飲んでいる薬・保険証や介護保険証の場所・緊急連絡先次の帰省のとき
2. 地域包括支援センターを調べる親の住所を担当するセンターの名前・電話番号を控える今日
3. 近所の協力者を見つける親しいご近所、親戚、民生委員など、いざというとき様子を見に行ける人帰省のとき、あいさつを兼ねて
4. 親の希望を聞いておく介護が必要になったら自宅で暮らしたいか、施設も考えるか、お金のこと元気なうちに、少しずつ
5. 毎日の様子がわかる仕組みをつくる電話・LINEの習慣や見守りサービスなどできるだけ早く

1. 親の情報を整理する

いざ入院や介護の相談が必要になったとき、最初に聞かれるのが「かかりつけの病院はどこか」「どんな薬を飲んでいるか」です。遠くに住む家族は、こうした情報を意外と知りません。帰省のときに、お薬手帳の写真を撮らせてもらう、かかりつけ医の名前を聞いておくだけでも、いざというときの動きがまったく違います。

2. 地域包括支援センターを調べておく

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護の相談を受ける公的な窓口です。介護が始まる前から相談でき、家族からの電話相談も多くの場合受け付けてもらえます。親の住所を担当するセンターの電話番号を、スマートフォンに登録しておきましょう。自治体の見守りサービスの使い方は、自治体の高齢者見守りサービス|種類・対象・申し込み方で詳しく紹介しています。

3. 近所の協力者を見つける

遠距離介護でいちばん頼りになるのは、親の近くに住む人です。帰省したときに、親と親しいご近所さんに「何かあったら連絡をください」と電話番号を渡しておくだけでも、心強い備えになります。親戚が近くにいれば、その人とも連絡先を交換しておきましょう。

4. 親の希望を聞いておく

「介護が必要になったらどうしたい?」という話は、切り出しにくいものです。ただ、親が元気なうちでないと、本人の希望を落ち着いて聞くことはできません。「もしものとき、私が困らないように教えて」と、主語を自分にして話すと受け入れてもらいやすくなります。帰省で親の変化に気づいたときの伝え方は、帰省で気づく親の変化|見るべきチェックリストと伝え方も参考にしてください。

5. 毎日の様子がわかる仕組みをつくる

離れて暮らしていると、異変に気づくのが遅れがちです。毎日の様子がわかる仕組みは、介護が始まる前からつくっておくのがおすすめです。詳しくは後半の「毎日の見守りは『仕組み』にする」で紹介します。見守りを始めるタイミングに迷う方は、親の見守りは何歳から?も読んでみてください。

介護が必要になったら:要介護認定からケアマネジャーまでの流れ

親が転んで歩きにくくなった、物忘れが増えて一人での生活が心配になった。そんなときは、介護保険のサービスを使うための「要介護認定」の申請から始めます。

申請から認定までの流れ

  1. 親の住む市区町村の介護保険の窓口、または地域包括支援センターに相談・申請する
  2. 市区町村の職員や委託を受けた調査員が自宅を訪ね、心身の状態を聞き取る(認定調査)
  3. 市区町村が主治医に意見書の作成を依頼する
  4. 介護認定審査会で、どのくらいの介護が必要かが判定される
  5. 結果(要支援1・2、要介護1〜5、非該当)が通知される

申請は本人だけでなく家族でもできます。遠方で窓口に行けない場合は、地域包括支援センターなどに申請を代わりに行ってもらうこともできます(※1)。結果は、法律上、原則として申請から30日以内に出すことになっています(※2)。ただし実際には30日を超えることも多く、厚生労働省の資料では、市区町村ごとの認定までの平均日数の中央値は39.3日(令和5年度)でした(※2)。休みや帰省の予定は余裕をもって組み、サービスを急いで使いたい事情があれば、地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談しましょう。

認定調査には、できれば家族も立ち会いましょう。親は調査員の前では「できます」と頑張って答えがちです。普段の様子を知る家族が補足することで、実際の暮らしぶりが伝わりやすくなります。日程が決まったら、仕事の休みを調整しておくと安心です。

ケアマネジャーとケアプラン

要介護1〜5と認定されたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を決めて、どんなサービスをどのくらい使うかの計画(ケアプラン)をつくってもらいます。要支援1・2の場合は、介護予防のケアプランを地域包括支援センター(または委託や指定を受けた居宅介護支援事業所)が作成します。

遠距離介護では、ケアマネジャーが家族と親をつなぐ大切な存在になります。最初の面談で、次のことを伝えておくとやりとりがスムーズです。

  • 家族は遠方に住んでいて、すぐには駆けつけられないこと
  • 連絡の取りやすい方法と時間帯(電話・メールなど)
  • 誰が窓口になるか(兄弟姉妹がいる場合)
  • 帰省できる頻度の目安

仕事と両立するための制度:介護休業と介護休暇

「介護のために仕事を辞めるしかない」と思い詰める前に、知っておきたい制度があります。育児・介護休業法では、家族を介護する働く人のために、次のような制度が定められています。

制度内容使い方のイメージ
介護休業対象家族1人につき、通算93日まで、3回まで分けて休める(※3)介護が始まった直後に、介護の体制づくりのために休む
介護休暇1年度に5日まで(対象家族が2人以上なら10日まで)。1日単位でも時間単位でも取れる。ただし、時間単位で取るのが難しい業務は、労使協定で時間単位の対象外になることもある(※4)認定調査の立ち会い、通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談
介護休業給付金雇用保険から、原則として休業開始時の賃金日額×支給日数×67%が支給される。支給額には上限がある(※3)介護休業中の収入の支え(一定の加入期間などの条件あり)
残業などの制限と、働き方の措置残業の免除(所定外労働の制限)、時間外労働・深夜業の制限。加えて、短時間勤務・フレックスタイム・始業終業時刻の繰り上げ繰り下げ・介護費用の援助のうち、会社が用意したいずれかの措置(※4)通いながら介護を続ける時期の働き方の調整

介護休業給付金の対象になる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です(※3)。義理の親の介護でも使えます。

介護休業の93日は、「その間に自分で介護をするための休み」というより、「介護サービスや役割分担の体制を整えるための期間」と考えると使いやすくなります。認定の申請、ケアマネジャーとの打ち合わせ、施設の見学など、最初の数週間は手続きが集中するためです。

2025年4月から変わったこと

2025年4月1日から、改正育児・介護休業法により、介護と仕事の両立を支える仕組みが強化されました(※5)。主な内容は次のとおりです。

  • 社員が「家族の介護に直面した」と会社に申し出たら、会社は介護休業などの制度を個別に知らせ、利用するかどうかの意向を確認しなければならない
  • 会社は、研修の実施や相談窓口の設置など、制度を使いやすくするためのいずれかの措置を講じなければならない
  • 社員が40歳になる年度(または40歳になってから1年間)など早い段階で、両立支援制度や介護休業給付金についての情報を提供しなければならない
  • 介護休暇について、勤続6か月未満の社員を労使協定で対象外にする仕組みがなくなった
  • 家族を介護する社員がテレワークを選べるようにすることが、会社の努力義務になった

つまり今は、介護のことを会社に相談すれば、会社から制度の説明を受けられる仕組みになっています。一人で抱え込まず、まずは人事や上司に「親の介護が必要になりそうだ」と早めに伝えることが、仕事を続けるための第一歩です。

帰省の負担を減らす工夫

遠距離介護では、帰省の回数と交通費が積み重なります。無理なく続けるために、次のような工夫をしてみましょう。

  • 帰省の目的を決めておく:認定調査の立ち会い、ケアマネジャーとの面談、通院の付き添いなど、人と会う用事をまとめて同じ日に入れる
  • 定期的な帰省日を先に決める:月1回、2か月に1回など、無理のない頻度をあらかじめ決めておくと、仕事の調整もしやすくなります
  • 交通機関の割引を確認する:介護のための帰省に使える割引運賃を用意している交通機関もあります。条件や手続きは各社で異なるため、利用前に確認しましょう
  • 介護休暇を時間単位で使う:午前中だけ休んで面談に出る、といった使い方もできます

帰省のたびにすべてを片づけようとすると、心も体も疲れてしまいます。「帰省は大事な用事と顔を見ること」「普段の様子は見守りの仕組みで確かめる」と役割を分けると、気持ちが楽になります。

毎日の見守りは「仕組み」にする

遠距離介護でいちばん不安なのは、「今、親は無事だろうか」がわからないことです。この不安を和らげるには、毎日の様子を確かめる方法を、家族の頑張りではなく仕組みにしておくのが大切です。

毎日電話をかける、LINEでやりとりする、といった方法はもっとも手軽です。ただ、仕事が忙しい日や体調が悪い日が続くと途切れやすく、「返事がないけれど、たまたまだろうか」と迷う時間も生まれます。安否確認の方法とそれぞれの続けやすさは、離れて暮らす親の安否確認|8つの方法の比較で比べています。

親がスマートフォンでLINEを使えるなら、毎朝の確認を自動にする方法があります。LINE見守りサービスのここわタッチは、毎朝決まった時間に親のLINEへ体調確認が届き、親は4つの選択肢から1つを押すだけです。

  • 親の回答は、そのまま家族のLINEに届きます
  • 返事がない日は自動でリマインドが届き、それでも応答がなければ家族全員へお知らせします
  • 最大3人まで同じ親を見守れるので、兄弟姉妹で同じ情報を共有できます
  • 機器の設置は不要で、月額550円(税込)・初月無料です

動き方も段階で決めておくと、遠くにいても落ち着いて対応できます。

  1. 回答が届いていれば、まずは今朝も反応があったと分かる(「気になることがある」などの回答なら、電話で様子を聞く)
  2. 返事がなければ、まず電話をかける
  3. 電話がつながらなければ、近所の協力者や親戚に様子を見に行ってもらう
  4. それでも確認できなければ、地域包括支援センターや警察に相談する

ここわタッチは、親御さん本人がスマートフォンとLINEを使えることが前提です。スマートフォンを使わない親には、部屋に置いたセンサーが生活の動きを見守る人感センサー型の見守りサポートここわのように、親の操作がいらない方法が向いています。

兄弟姉妹で分担する

兄弟姉妹がいる場合は、早めに役割を話し合っておきましょう。実家に近い人は駆けつけ、遠方の人は連絡や手続き、時間が取りにくい人は費用面、というように、それぞれができることを分けるのが現実的です。近くに住む人だけに負担が集中しないよう、情報と帰省の予定を全員で共有しておくと、不公平感が生まれにくくなります。分担の決め方や、兄弟姉妹の温度差の埋め方は、兄弟姉妹で親を見守る|分担の決め方で詳しく紹介しています。

よくある質問

Q. 遠距離介護は、まず何から始めればいいですか?

親の住所を担当する地域包括支援センターの連絡先を調べ、次の帰省のときに、かかりつけ医や飲んでいる薬などの情報を整理しておくことから始めましょう。介護が始まる前でも相談できるので、「離れて暮らしていて心配」と電話してみるのも一つの方法です。

Q. 要介護認定の申請は、遠方に住む子どもでもできますか?

できます。申請は家族でも行えますし、地域包括支援センターなどに代わりに手続きしてもらうこともできます。ただ、認定調査にはできるだけ立ち会い、普段の様子を伝えられるように日程を調整しておくと安心です。

Q. 介護休業と介護休暇は、どう違いますか?

介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れるまとまった休みです。介護休暇は、1年度に5日まで(対象家族が2人以上なら10日まで)取れる短い休みで、時間単位でも使えます(業務によっては労使協定で時間単位の対象外になることもあります)。介護の体制づくりには介護休業、通院の付き添いや面談には介護休暇、という使い分けが一般的です。

Q. 義理の親(配偶者の親)の介護でも、介護休業は使えますか?

使えます。育児・介護休業法の対象家族に配偶者の父母が含まれるので、介護休業も介護休暇も取れます。介護休業給付金の対象家族にも含まれます(※3)。介護休業は法律で決まった権利なので、就業規則に書かれていなくても取得できます。ただし、有期雇用の方は契約期間について一定の要件があり、手続きの方法も会社ごとに違うため、人事担当者に確認してください。

Q. 遠距離のまま介護を続けるのは、どのくらいまで可能ですか?

親の状態や、近くで支えてくれる人の有無によって大きく変わります。介護サービスの利用、近所の協力者、毎日の見守りの仕組みがそろっていれば、遠距離のまま続けている家族も多くいます。負担が大きくなってきたら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに、住まいの選択肢も含めて早めに相談しましょう。

まとめ

  • 遠距離介護は、親が元気なうちの準備で負担が大きく変わる
  • 最初の一歩は、親の情報の整理と、地域包括支援センターの連絡先を知っておくこと
  • 介護が必要になったら要介護認定の申請から。家族でも申請でき、代わりに手続きしてもらうこともできる
  • 介護休業(通算93日・3回まで)と介護休暇(年5日、2人以上なら10日・時間単位可)を組み合わせて、仕事を続けながら介護する
  • 2025年4月からは、会社による制度の個別周知・意向確認が義務になった
  • 毎日の見守りは仕組みにし、兄弟姉妹で役割と情報を分け合う

出典

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