認知症の親の一人暮らしはいつまで?|限界のサインと使える支援、家族の見守り方

この記事の結論

  • 認知症と診断されても、すぐに一人暮らしができなくなるわけではありません。「何年」ではなく「生活のどこで支えが要るか」「支えを入れれば安全を保てるか」で考えます
  • 火の不始末、薬の飲み忘れ・飲みすぎ、お金の管理の乱れ、道に迷う、詐欺や訪問販売の被害は、支えを増やすべきサインです
  • 相談はまず親の住む地域の地域包括支援センターへ。介護保険のサービス、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業、成年後見制度などを組み合わせて、一人暮らしを支えます
この記事の内容(10項目)
  1. 認知症でも一人暮らしは続けられる?
  2. 一人暮らしを続けられるかの目安
  3. 注意したい危険のサイン
  4. 使える支援と相談先
  5. 見守りを組み合わせて、変化に早く気づく
  6. 家族で役割を分ける
  7. 施設や住み替えを考える目安
  8. よくある質問
  9. まとめ
  10. 出典

認知症の親の一人暮らしはいつまで?|限界のサインと使える支援、家族の見守り方|LINE見守りサービス「ここわタッチ」

「母が認知症と診断された。でも本人は今の家で暮らし続けたいと言っている」「父の物忘れが増えてきたけれど、離れて暮らしていて毎日は様子を見られない」。親の認知症に向き合い始めたとき、多くの家族が最初に悩むのが「一人暮らしをいつまで続けられるのか」という問いです。

この記事では、一人暮らしを続けられるかを考える目安、注意したい危険のサイン、使える支援と相談先、見守りの組み合わせ方、家族の役割分担、施設や住み替えを考える目安を順に整理します。

この記事は、家族が状況を整理するための一般的な情報です。認知症かどうか、どの程度進んでいるか、一人暮らしを続けてよいかの判断は、医師やケアマネジャー、地域包括支援センターなどの専門職と相談して決めてください。

まだ診断を受けておらず、「最近ちょっとおかしいかも」という段階の方は、電話で気づく親の変化|同じ話を繰り返すのは認知症のサイン?を先に読むと、受診につなげるまでの流れがつかみやすくなります。

認知症でも一人暮らしは続けられる?

結論から言うと、認知症と診断されたからといって、すぐに一人暮らしができなくなるわけではありません。認知症の進み方や症状の出方は人によって大きく違い、初期のうちは、支えを少しずつ足しながら住み慣れた家で暮らしている人も多くいます。

認知症は、決して珍しいものではありません。厚生労働省の研究班の推計では、2022年時点で65歳以上の認知症の人は約443万人(有病率12.3%)、その手前の段階とされる軽度認知障害(MCI)の人は約559万人(有病率15.5%)です(※1)。同じ推計では、2040年には認知症の人が約584万人になると見込まれています(※1)。

大切なのは、「何年まで」と期限を決めることではなく、次の2つを繰り返し確かめることです。

  • 生活のどの部分で、支えが必要になっているか
  • 支えを入れれば、本人の安全を保てるか

この2つに「はい」と言える間は、一人暮らしを続ける道があります。逆に、支えを足しても安全を保てなくなってきたら、暮らし方を見直す時期です。

一人暮らしを続けられるかの目安

続けられるかどうかを考えるときは、生活の場面ごとに状況を見ていくと整理しやすくなります。次の表は、家族が様子を確認するときの目安です。

生活の場面支えを足せば続けやすい状態暮らし方の見直しを相談したい状態
食事買い物や調理に手伝いが要るが、届いた食事は食べられる食事をとったか分からない日が続く、傷んだものを食べてしまう
火の扱い消し忘れがときどきあるが、安全装置や電磁調理器で防げる鍋を焦がす・ガスの消し忘れが繰り返され、本人が気づかない
薬声かけや服薬カレンダーがあれば飲める飲み忘れや飲みすぎが続き、体調に影響が出ている
お金大きな支払いに手伝いが要るが、日々の買い物はできる同じものを大量に買う、公共料金の滞納、契約トラブルが起きる
外出慣れた道なら一人で行き来できる道に迷って帰れなくなる、夜中に外へ出てしまう
連絡電話やLINEに応じられ、困ったときに助けを求められる体調が悪くても連絡できない、連絡の手段を使えなくなる

右の列に当てはまる場面が1つあったからといって、すぐに一人暮らしをやめる必要があるわけではありません。ただ、複数の場面で当てはまる、あるいは同じ場面で何度も起きているなら、早めに専門職へ相談するサインです。

注意したい危険のサイン

認知症の親の一人暮らしで、特に気をつけたいのは次の5つです。どれも「本人が自分では気づきにくい」という共通点があります。

火の不始末

鍋を火にかけたまま忘れる、ストーブの近くに燃えやすいものを置く、たばこの火の始末が甘くなる、といった変化です。帰省したときに焦げた鍋や、変色したコンロ周りがないかを見てみてください。ガスコンロを安全装置付きのものやIHに替える、ガスの元栓を閉める習慣をつくる、といった対策を早めに検討します。認知症があると新しい機器に慣れるのが難しくなることもあるので、替えるなら早めの段階のほうが安心です。

薬の飲み忘れ・飲みすぎ

薬が大量に余っている、逆に早くなくなっている、という状態は要注意です。持病の薬が飲めていないと、認知症とは別の病気が悪くなることもあります。かかりつけ医や薬剤師に相談すると、1回分ずつまとめる「一包化」や、訪問での服薬の確認などを提案してもらえることがあります。

お金の管理の乱れ

同じ商品が家にたくさんある、請求書や督促状がたまっている、通帳の残高が急に減っている、といった変化です。本人を責めると話がこじれやすいので、「手続きが面倒になってきたなら手伝うよ」と、手間を減らす提案として切り出すのがおすすめです。

道に迷う・夜中に外へ出る

慣れているはずの道で迷った、夜中に外を歩いていたところを近所の人に見つけてもらった、といった出来事があったら、外出時の安全を考える段階です。地域によっては「SOSネットワーク」などの名前で、行方不明になったときに早く見つけるための事前登録の仕組みがあります。たとえば横浜市の「認知症高齢者等SOSネットワーク」では、身体的な特徴などを区役所や地域包括支援センターで事前に登録できます(※5)。仕組みの有無や名前は自治体ごとに違うので、市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してみてください。

詐欺や訪問販売の被害

電話で言われるままにお金を振り込む、訪問販売で高額な契約をしてしまう、といった被害にも遭いやすくなります。固定電話を留守番電話に設定しておく、迷惑電話を防ぐ機能のある電話機を使う、といった対策があります。困ったときは、消費者ホットライン(188)に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます(※6)。本人だけでなく、家族が相談することもできます。

使える支援と相談先

一人暮らしを支える仕組みは、家族だけで抱え込まずに組み合わせて使うのが基本です。主な相談先と支援をまとめます。

支援・相談先どんなことができるか窓口
地域包括支援センター介護・福祉・医療の総合相談。家族からの相談も受け付けている。認知症の人を訪問して支援する専門職のチームとつながっていることも多い親の住所地を担当するセンター
介護保険サービス要介護・要支援の認定を受けると、ホームヘルパーの訪問、デイサービス、ショートステイなどを利用できる市区町村の介護保険の窓口、地域包括支援センター
日常生活自立支援事業福祉サービスの利用の手伝い、日常のお金の出し入れの手伝い、定期的な訪問による生活の変化の確認など市区町村の社会福祉協議会
成年後見制度判断する力が不十分になった人の財産管理や契約を、後見人などが法的に支える家庭裁判所、市区町村の相談窓口
かかりつけ医・認知症の専門医療機関診断、治療、症状についての相談。要介護認定のときに市区町村から依頼される主治医意見書も、かかりつけ医が書くかかりつけ医、地域の認知症の専門外来など

地域包括支援センター

最初の相談先として、もっとも頼りになる窓口です。「親が認知症かもしれない」「一人暮らしが心配」という段階から相談できます。地域によっては、複数の専門職が自宅を訪ね、おおむね6か月をめどに集中的に支える「認知症初期集中支援チーム」という仕組みもあり、地域包括支援センターなどに置かれています(※2)。相談先の探し方や、遠方から相談するときのコツは自治体の高齢者見守りサービスでも紹介しています。

日常生活自立支援事業

社会福祉協議会が行っている事業で、厚生労働省は対象を、認知症の高齢者などで、日常生活に必要なサービスを利用するための判断を本人だけで適切に行うことが難しい人としています(※3)。福祉サービスを使う手続きの手伝いのほか、預金の払い戻しや預け入れなど日常のお金の管理の手伝い、定期的な訪問による生活の変化の確認などを行います(※3)。

利用するには、本人がこの事業の契約内容を理解できることが必要です(※3)。利用料は実施する社協が定めていて、厚生労働省のページでは訪問1回あたり平均1,200円と紹介されています。契約前の相談は無料です(※3)。

成年後見制度

判断する力が不十分になり、財産の管理や介護サービスの契約などを一人で行うのが難しくなった人を、法的に支える制度です。大きく分けて、判断する力が十分なうちに、将来支えてもらう人と内容を契約で決めておく「任意後見」と、家庭裁判所が後見人などを選ぶ「法定後見」があります。法定後見は、本人の状態に応じて「補助」「保佐」「後見」の3つの類型に分かれます(※4)。

任意後見は、本人がまだ判断できるうちにしか結べません。「まだ大丈夫」と思える時期にこそ、家族で話し合っておく価値があります。

見守りを組み合わせて、変化に早く気づく

離れて暮らす家族にとって難しいのは、「何かあったときにすぐ気づけない」ことです。認知症の親の場合、本人が体調の悪さや困りごとを自分から伝えられないこともあるため、見守りは「本人が知らせてくれる」ことに頼らない形を組み合わせるのが基本です。

見守りの方法気づけること向いている時期
ホームヘルパー・デイサービス食事・服薬・身の回りの様子を専門職が直接確認介護認定を受けたあと
配食サービス手渡しのときの様子、食事がとれているか食事の用意が難しくなってきたとき
毎日の電話・LINE声や返事の様子、話のつじつま会話が十分にできるうち
ボタンを押すだけの安否確認毎朝決まった時間に反応があるかボタンの操作ができるうち
人感センサー型の見守り家の中で動きがあるか、生活リズムの乱れ操作が難しくなってきたとき
近所の人・民生委員外から見た様子、郵便物のたまり具合どの時期でも

親がスマートフォンでLINEを使えるうちは、LINE見守りサービスのここわタッチのように、毎朝届く体調確認にボタンで答えるだけの方法もあります。

  • 毎朝決まった時間に、親のLINEへ体調確認が届きます
  • 親は4つの選択肢から1つを押すだけで、文字を打つ必要はありません
  • 答えはそのまま家族のLINEに届きます。返事がない日は自動でリマインドし、それでも応答がなければ家族全員へお知らせします
  • 最大3人まで、追加料金なしで同じ親を見守れます

毎朝同じ時間にボタンを押すことは、家族にとって「今日も反応があった」と分かる手がかりになります。押す時間が日によって大きくずれる、答えない日が増える、といった変化が、生活リズムの乱れに気づくきっかけになることもあります。ただし、これは病気の進み方を判断したり、症状を防いだりするものではありません。気になる変化があれば、医師やケアマネジャーに相談してください。

正直にお伝えすると、認知症が進むと、スマートフォンを開いてボタンを押すこと自体が難しくなっていきます。そうなったら、本人の操作がいらない見守りに切り替える時期です。同じTRIAS株式会社では、家の中に置くだけで動きを確認できる人感センサー型の「見守りサポートここわ」も提供しています。あわせて、ホームヘルパーなど人の目が入る介護サービスを増やしていくことが大切です。

家族で役割を分ける

認知症の親の一人暮らしを支えるのは、長い期間にわたる取り組みになります。一人で抱えると、どこかで続かなくなります。兄弟姉妹や親戚がいれば、早いうちに役割を分けておきましょう。近くに住む人は通院の付き添いや駆けつけ、遠くに住む人は毎日の連絡や制度の情報集め、というように住む場所と得意なことで分け、親の体調の変化や受診の結果は全員で共有します。

離れて住んでいても、できることはたくさんあります。「近くに住んでいる人ばかりに負担が偏る」のが、兄弟姉妹の間でもっとも起きやすいすれ違いです。分担の決め方は兄弟姉妹で親を見守る|分担の決め方と「温度差」の埋め方で詳しく紹介しています。

施設や住み替えを考える目安

支えを足しても安全を保てなくなってきたら、施設への入居や、家族との同居、見守りのある住まいへの住み替えを考える時期です。次のような状況が重なってきたら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。

  • 火の不始末や、夜中に外へ出てしまうことが繰り返され、命に関わる危険がある
  • 食事や水分を十分にとれず、体調を崩すことが増えた
  • 介護サービスを増やしても、サービスが入らない時間の安全を保てない
  • 本人が強い不安や寂しさを訴えるようになった
  • 支える家族が、心身ともに限界に近づいている

最後の項目も、大切な判断材料です。家族が倒れてしまっては、親を支えることもできなくなります。施設を考えることは「見捨てること」ではなく、安全に暮らせる場所を一緒に探すことだと考えてください。

施設への入居を決めるときは、できる限り本人の気持ちを聞き、見学に一緒に行くなど、本人が納得できる形で進めることが望まれます。

よくある質問

Q. 認知症の親の一人暮らしは、何年くらい続けられますか?

一律の年数はありません。認知症の種類や進み方、持病、住まいの環境、使える支えの量によって大きく変わります。「何年」ではなく、生活のどの場面で支えが要るか、支えを入れれば安全を保てるかを、定期的に医師やケアマネジャーと確認していくのが現実的です。

Q. 本人が「まだ一人で大丈夫」と言って、支援を受けたがりません。

認知症の初期には、本人が自分の変化を認めにくいことがよくあります。「認知症だから」ではなく、「手間を減らすため」「家族が安心したいから」と主語を変えて伝えると、受け入れてもらいやすくなります。地域包括支援センターの職員など、家族以外の第三者から話してもらうのも一つの方法です。

Q. 離れて暮らしていて、地域包括支援センターに直接行けません。

多くの場合、家族からの電話でも相談を受け付けてもらえます。親の住所を担当するセンターを調べ、まずは電話で状況を伝えてみてください。相談の前に、親の年齢・持病・最近の困りごと・家族の連絡頻度などをメモしておくと話が進みやすくなります。

Q. お金の管理が心配です。家族が代わりに管理してもよいですか?

日々の支払いの手伝いなど、家族がサポートすることはよくあります。ただ、本人の財産を家族が自由に扱えるわけではなく、預金の手続きなどで本人確認が必要になる場面もあります。社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や成年後見制度など、仕組みとして支える方法もあるので、早めに専門の窓口へ相談してください。

Q. 見守りサービスは、認知症の親にも使えますか?

使えるかどうかは、親ができる操作によります。スマートフォンでボタンを押せるうちは、LINEで毎朝答えるタイプも使えます。操作が難しくなってきたら、置くだけで動きが分かる人感センサー型など、本人の操作がいらないタイプが向いています。どちらも介護サービスの代わりになるものではなく、組み合わせて使うものと考えてください。

まとめ

  • 認知症と診断されても、すぐに一人暮らしができなくなるわけではない
  • 「何年まで」ではなく、「どこで支えが要るか」「支えを入れれば安全か」で考える
  • 火の不始末・薬・お金・道に迷う・詐欺被害は、支えを増やすべきサイン
  • 最初の相談先は地域包括支援センター。介護保険、日常生活自立支援事業、成年後見制度などを組み合わせる
  • 見守りは、本人の操作に頼らない形も組み合わせる。操作が難しくなったら、操作のいらない見守りや介護サービスへ切り替える
  • 家族で役割を分け、支える側が限界になる前に施設や住み替えも選択肢に入れる

離れて暮らす親の孤独死が心配な方は、一人暮らしの親の孤独死を防ぐにはもあわせてご覧ください。

出典

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